なぜ作ったのか
数字パズルは長いあいだ、鉛筆と紙の遊びでした。マスを数え、線を引き、間違えたら消しゴムで消す。答えを見つける楽しさは大きかったけれど、指先に残るのはいつも、さらさらとした紙の手ざわりでした。
私たちが変えてみたかったのは、その手ざわりです。線を引く代わりに、ゼリーをのばしてみたらどうだろう。数字の書かれたゼリーを指でぐーっと引っぱると、ぷるんとのびて、指を離すとマスにぴたっとくっつく——。
これまでにない、ぷるぷるの質感が、このゲームの味わいです。Jelly Stretch は、その手ざわりから始まりました。

切って分けるパズル、そのいくつかの場面
図形を切り分けるパズルは数えきれないほどあり、その根っこもとても古いものです。ここでは Jelly Stretch に似たいくつかの場面だけを取り上げます。
記録に残るもっとも古い場面は、プラトンの時代(紀元前427〜347年)の古代ギリシャです。同じ大きさの正方形ふたつを4つのピースに切り、大きな正方形ひとつにする問題でした。1902年には、ヘンリー・デュードニーが、正三角形を4つのピースに切って正方形を作る「小間物行商人のパズル(Haberdasher’s Puzzle)」を出しています(Wikipedia 英語版)。図形を切ってつなぎ直すこうしたパズルを、日本では「裁ち合わせ」と呼びます(Wikipedia)。
1980年、日本初のパズル専門誌「パズル通信ニコリ」が創刊されました。掲載されるパズルのほとんどが読者からの投稿であることが、この雑誌の特徴です(Wikipedia)。1984年4月には、ニコリの鍜治真起さんがある数字パズルを日本に紹介しました。のちに世界中に広がる数独です。2004年11月12日には、イギリスの「タイムズ」紙が数独の掲載を始めました(Wikipedia 英語版)。
Jelly Stretch にいちばん近い場面は「四角に切れ」です。盤面を長方形に分け、どの長方形にも数字がひとつずつ入り、その数字が長方形の面積になります(ニコリ)。このパズルは、当時ニコリに載っていた「裁ち合わせ」をペンシルパズルに応用して提案されたもので、ニコリ27号で初めて発表されました。考案したのは当時の読者で、のちに編集長を経て、2021年にニコリの社長になりました(Wikipedia)。英語版ウィキペディアは、考案を1989年としています(Wikipedia 英語版)。
同じルールは画面にも移りました。サイモン・タサムのパズル集には「Rectangles」という名前で収められていて、彼はこのゲームの功績をニコリに帰しています(Simon Tatham)。
図形を切ってつなぎ直していたパズルは、鉛筆で線を引くパズルになり、画面の上ではマウスで長方形を描くようになりました。Jelly Stretch では、指でゼリーをのばします。ルールはそのままに、手に触れるものを変えました。
何を残し、何を変えたか
数字は長方形の面積、長方形ひとつに数字ひとつ、盤面はすき間なく——この骨組みはそのまま残しました。4と書かれたゼリーなら、横一列(1×4)、四角(2×2)、縦一列(4×1)のどれかにのびます。
変えたのは三つです。
- 手——線を引く代わりに、ゼリーをのばします。数字より短ければ「Keep stretching…」、数字の分だけのびたら「Release to stick!」。
- 質感——ぷるぷるのゼリーには顔があります。盤面を埋めきると「A perfect little family!」
- ギミック——盤面にルールをひとつずつ足していきます。どのギミックも、変えるのはひとつだけです。
| ギミック | 変えるもの | ルール |
|---|---|---|
| Wake the frozen jelly(氷) | 順番 | 氷の中のゼリーは、まだのばせません。雪の結晶の数字の分だけほかのゼリーを完成させると、氷が割れます。 |
| Follow the arrows(型) | 形 | 左右の矢印は横一列、上下の矢印は縦一列、四隅のマークは縦横2マス以上の四角にしかのびません。 |
| Shh! A sleepy jelly(ねぼすけ) | 情報 | 数字を隠して眠っています。すぐ隣にゼリーをくっつけると、目を覚まして数字を見せてくれます。 |
| ? | ? | ここから先は、自分で出会ってみてください。 |
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氷 · LEVEL 10
型 · LEVEL 13
ねぼすけ · LEVEL 18ぷるぷるの仲間たち
ゼリーはみんな、顔のある仲間です。ロビーでは大きなゼリーの仲間たちが待っていて、盤面を埋めきると、仲間たちが集まって Stage Clear をお祝いしてくれます。


いまは Classic モードひとつで、これからも育てていきます。
空いたマスがひとつずつ埋まっていくように、こわばった一日も、指先から少しずつやわらかくほどけていきますように。
遊び方
- 数字の書かれたゼリーを指で引っぱってのばします。
- 数字の分だけマスを埋める長方形を作ります——数字は面積です。
- ゼリーひとつに入る数字はひとつだけ。
- 盤面をすき間なく埋めたらクリア。困ったらヒントを使いましょう。


出典 — Dissection puzzle(Wikipedia 英語版) · 裁ち合わせ(Wikipedia) · 四角に切れ ルール(ニコリ) · 四角に切れ(Wikipedia) · Shikaku(Wikipedia 英語版) · パズル通信ニコリ(Wikipedia) · Sudoku(Wikipedia 英語版) · Rectangles(Simon Tatham’s Portable Puzzle Collection) · ゲーム画面:2026年10月撮影